【東方project】夜中の神社参りで得たもの【二次創作小説】

左から

紅魔郷妖々夢永夜抄花映塚風神録地霊殿星蓮船

という作品の順番ごとの霊夢魔理沙の公式絵です。

間に公式の格ゲーのありますがそれはZUN氏の絵ではないです。

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博麗神社。

そこには紅白の服を着た巫女、博麗霊夢が住んでいた。

村人からは妖怪に乗っ取られているとまで言われるほど人間の参拝客が来ない。

だが、妖怪はよく来る。そんな神社だ。

 

ある日の冬の夜のこと。

 

 

霊夢「うー、寒いわ」

 

 

布団を敷いて、寝巻きに着替えながら一人でポツリと呟きながら、寝る支度をしていた。

 

 

霊夢「さて、寝ようかしら」

 

 

布団へ入り、いつものように寝ようとした。

『カン』とあまり中身がない賽銭箱からお金を入れた音が微かに聞こえた。

 

 

霊夢「ん?今お賽銭を入れた音がしたような、、、?いや、こんな時間に?」

 

 

霊夢は聞き逃さなかった。

草木が風で揺れる音しか聞こえない山にある神社では余計に音が響いて聞こえた。

 

 

霊夢「こんな夜中にお賽銭、、、人間?いや、ここまで来るのに森を歩いてくる命知らずなんているのかしら?」

 

 

博麗神社は人里から少し離れたとこにあり、途中にある森には妖怪がいる。

夜に出歩くのは危険なのだ。

 

 

霊夢「人間だとしたら、、、しょうがない。見に行くか、ってさむっ!」

 

 

渋々布団から出て冬の寒さに凍えながら部屋から出て、外へ向かう。

 

 

霊夢「だれ?こんな時間に?ってあんたは!」

 

 

仲達「あ、すいません。起こしましたか」

 

 

何回か、宴会で酒を提供していた顔見知りの、ごく普通の村人だった。

 

 

 

霊夢「あんたねえ、、、なんでこんな時間に来てるのよ。危ないわよ?死にたいわけ?」

 

 

呆れ切った顔で注意する。

死んでいてもおかしくなかったからだ。

 

 

仲達「すいません。寝付けなくて。

散歩していたらここへ来ていたもので。それじゃ」

 

 

霊夢「ちょ!ちょっと!帰るの!?妖怪にそんな襲われたいの!?

 

 

霊夢は慌てて走り、追いかけた。

仲達は動きを止め、振り返る。

 

 

仲達「まあ、明日も用事あるんで、、、」

 

 

霊夢「いや、さすがに見過ごせないわよ!とはいえ一緒に行くのもねえ、、、」

 

 

霊夢は考え込んだが一つ思い浮かんだことがある。

 

 

霊夢「わ、わかったわよ、今日はうちで泊まっていきなさい。朝早く起きてから帰るのがいいわ」

 

 

だが、少し引っかかる。

 

 

霊夢「いや、お布団一つしかない、、、」

 

 

ぼそっと聞こえないくらいの小声で浮かんだことを口に出す。

一人は雑魚寝か一緒の布団で、、、

 

 

霊夢「あ、、、」

 

 

仲達「ん?どうしました?」

 

 

霊夢「な、なななんでもないわよ!と、とにかく今日はうちに泊まるの!いい!?」

 

 

顔を赤くしながら仲達に迫る。

困惑しながらも受け入れる。

仮にも女の子と二人きりで夜を過ごすのだから。

 

寝室へと案内をして霊夢は先に布団に入る。

 

 

霊夢「お、お布団一つしかないから、一緒寝るわよ」

 

 

仲達「えぇ!?そんな悪いんでその辺で、、」

 

 

霊夢「だ、だめよ!風邪引かれたら迷惑だしそ、その、、一緒に寝たほうがあったかいでしょ!」

 

 

背中を向けながら言ってはいるが、顔は真っ赤の霊夢だった。

仲達は恐る恐る布団へと入る。

 

 

仲達「そ、それじゃ失礼しまーす、、、」

 

 

霊夢「言っとくけど変なことしたら速攻追い出すからね!」

 

 

仲達「は、はい」

 

 

お互い背中合わせの状態。

寝室の中はなにも音はせず、静寂という寂しさある空間だった。

 

 

そんな中、霊夢は悶々としていた。

今、男と同じ布団で寝ている。

霊夢も年頃の女の子。

普段素っ気ない態度はしても、気にしてしまう。

 

 

~数十分後~

 

 

霊夢は目を閉じてはいるがまったく眠れない状態だった。

一方仲達は、静かに寝息を立てていた。

 

 

霊夢「お、起きてる?」

 

 

念のため少し小さい声で確認してみる。

当然その程度では起きない。

 

 

霊夢「、、、こんな状況でよく寝れるわね、こいつ」

 

 

ゆっくり振り返って寝顔を確認してみる。

そっと顔を覗き込む。

 

 

霊夢「ぐっすりね、、、私だけ意識してバカみたいじゃない、、、

 

 

不服そうに、呆れたような顔になり、覗くのをやめて戻る。

なにかを期待したわけではないが、こうもあっさりなにもないと何か物足りない。

 

 

霊夢「やっぱりまだ寒い、、、」

 

 

目の前に、人の温もりが。

 

 

霊夢「こ、このくらい良いわよね?泊めてあげてるんだし、、、」

 

 

ゆっくりと近づき、仲達の背中に頬を当て、身体を寄せる。

 

 

霊夢「あったかい、、、」

 

 

恋人同士のように寄り添っている光景だった。

自分がなにをしているのかはなんとなくわかる。

だが、興味本位でやってしまった。

人の温もりを感じてみたかった。

 

 

霊夢「、、、こいつの身体、大きいのね、、、良い匂い、、、」

 

 

温もりにうっとりしているの徐々に眠気がきて瞼が少しずつ重くなっていった。

少し緊張はするし、そのせいで顔が熱いが、安心感が勝り、少しずつ眠くなる。

 

 

そのとき、仲達は違和感を感じて目が覚めてしまった。

背中になにがが当たっている。

いや、霊夢しかいないのはわかるが、そんなことは、と起きてからすぐ考えた。

 

眠い目をしたままそっと、振り返る。

霊夢は心で寝返りと思い、目を開けて見た。そして、目があってしまった。

 

 

霊夢「っきゃあ!」

 

 

数秒の間動きが止まり、状況を理解し、叫んでしまう。

慌てて後ろに下がり、お互いの眠気が一気に消し飛ぶ。

 

 

霊夢「なな、ななななんで起きてるの!?ていうか起きてたの!?

 

 

顔を手で覆いながらすごく慌てる。

仲達もそれに合わせて身体をビクつかせて驚いたが、霊夢の態度を見てなにをされていたのかなんとなく理解した。

 

 

仲達「えーと、なにを、、、」

 

 

霊夢「い、いやなんにもしてないわ!寝るわよ!」

 

 

霊夢はすぐにそっぽ向いて目を閉じる。

突然のことで対処に困る仲達。

だが意を決して聞いてみることにした。

 

 

仲達「僕の背中で良ければ、貸しますよ」

 

 

突然のことに目を開く。

まるで望んでいたことを待っていたかのように。

 

 

霊夢「い、いらないわよ!」

 

 

仲達「え、、、?僕の背中に寄り添ってませんでしたか、、、?」

 

 

霊夢「、、、えっ、あっ、いや、、、」

 

 

図星を突かれ、慌てる。

なんとなく気になって寄り添って勝手にドキドキしていたなんて言えない」

と内心考えていた。

 

 

霊夢「そ、そうよ。暖かかったからよ」

 

 

咄嗟に口にでてしまい、しまったという表情になる。

 

 

仲達「やはり、寒いですか。じゃあせめて」

 

 

霊夢「きゃっ」

 

 

お互い背中をくっつける。

霊夢はやられた行為に理解できずオロオロする。

 

 

霊夢「えっ、ちょ、ちょっと!?」

 

 

仲達「これなら少しはいいでしょう」

 

 

霊夢「いいって、、、こんな、、、」

 

 

なぜか、嬉しい気持ちが湧いてきてしまう。

なぜか嫌じゃない。

いや、まだ『足りない』に変わっていた。

 

 

霊夢「ねぇ、、、」

 

 

仲達「はい?」

 

 

霊夢「ま、まだ寒いの」

 

 

仲達「え?どうすれば、、、」

 

 

霊夢「だ、抱きしめな、、、さぃ」

 

 

仲達「え、、、?」

 

 

霊夢「だから、その、、、抱きしめ、、て暖めなさい」

 

 

最後は恥ずかしさのあまり、声が消えかけていた。

ワガママを言うが、自分の家に泊めてるという立場を利用した。

 

 

霊夢「せっかく泊めてあげてるんだから、、、私に尽くしなさい、、、よ」

 

 

数秒間思考して、霊夢の方へ向いて後ろからそっと抱きしめる。

 

 

霊夢「あっ、、、」

 

 

ふわりとした優しい香り。

霊夢』の匂いというのを感じた。

幻想郷最強の巫女。

それも今はただの一人の少女。

どれだけ強くても、どれだけ遠い存在であろうと人間の女の子だ。

 

 

霊夢「ありが、、、と」

 

 

霊夢は今、人の暖かさを感じている。

それはとても優しく、安心感があるものだった。

普段は一人でも自然に相手というものを欲してしまうのが人間。

霊夢もその一人だった。

 

 

霊夢「、、、おやすみなさい」

 

 

仲達「おやすみなさい」

 

 

心臓の高鳴りがうるさいほどなのに、眠気に襲われる。

乱れていた呼吸少しずつ整い、いつの間にか二人は意識が途絶えていた。

 

 

~朝~

 

 

先に霊夢の目が覚める。

まだ日が昇ってから少しだった。

仲達に抱きつかれながら寝ていたことを思い出して、起きて早々胸の鼓動が早くなるが、なぜか嬉しい気持ちになる。

 

 

霊夢「これが好きということなのかしら、、、」

 

 

そっと自分を抱きしめる仲達の手を優しく握り、ポツリと呟く。

少しの間、幸せを噛みしめると、ゆっくりと布団をどけて上半身を起こす。

仲達を見つめながら、ふと口に出た。

 

 

霊夢「キスって、、、どんな感じだろ」

 

 

唇を見つめ、やろうかと思ってしまった。

 

 

霊夢「いやいや、なに考えてるの私は」

 

 

慌てて正気に戻り、仲達の肩に手を置いて揺らして起こす。

 

 

霊夢「ほら、起きなさい」

 

 

仲達「うーん、、、」

 

 

霊夢「起きなさいよ!」

 

 

仲達「んん、、、」

 

 

なかなか起きない仲達に少し思い浮かんだことがある。

そんな顔をしながら実行してみた。

どうせ起きないなら、と思っていた。

耳元に顔を寄せて呟く。

 

 

霊夢「起きないと、、、キス、、、しちゃうわよ、、、?」

 

 

自分でもなにしてるのかわからない。

なにを言ってるかわからない。

だが無性にイタズラしたくなった。

 

 

仲達「、、、え?き、きす?」

 

 

霊夢「な、なんでそれで起きるのよ!」

 

 

仲達「いや、そろそろ起きようとしたら、、、なんか聞こえて、、、」

 

 

霊夢「い、いや、今のナシだから!」

 

 

目を逸らし、必死に否定する。

だが、聞かれていた恥ずかしさに顔が紅くなる。

 

 

仲達「え、でも今、、、」

 

 

霊夢「い、いいから、さっさと帰れ!」

 

 

起き上がらせて、仲達の背中を押しながら外に出す。

冬の朝ということで、寒くないわけもなく、、、

 

 

霊夢「さ、さむ!」

 

 

仲達「そ、そうですね、、、」

 

 

外に出た瞬間二人とも凍えて腕を組む。

 

 

仲達「とにかく泊めていただきありがとうございます。では」

 

 

霊夢「気を付けて帰りなさい」

 

 

仲達「はい」

 

 

歩いて神社の鳥居を過ぎ階段を降りようとすると霊夢が走って仲達を追いかけて、裾を掴み、振り返る。

 

 

霊夢「また、賽銭入れに来なさい。その、、、夜は危ないからせめて夕方までには来なさいよね。まあ、布団二つ目用意するのは無理かもしれないけど、、、ね」

 

 

仲達「はい、また来ます」

 

 

霊夢なりのまた会いたいと伝えたつもりだった。

仲達は階段を降りはじめる。

後ろで仲達が見えなくなるまで見送る霊夢

見えなくなると、急に寂しそうな顔になるが昇ってきた太陽に照らされ、眩しさに目を瞑る。

1日が始まる。

またすぐに会えそうな気がした。

 

 

霊夢「絶対来てよね」